村上春樹の人生観・「個性」の出し方とは? | 『職業としての小説家』感想

村上春樹

「オリジナリティー」「個性」といった言葉は、現代でとても重要視されています。

 

そしてその反面、それらを聞くと、時にひどく悩んでしまいます。

私には何もない。

自分は凡人だ。

個性がある人が羨ましい。

しかし、そもそも個性ってどのようにして生まれるのでしょうか?無理に考えて頑張って、ようやく見出すことなのでしょうか。元々のセンスのことを言うのでしょうか。何か一つを徹底的に突き詰めないといけないのでしょうか。

 

 自己紹介や就活の面接、そしてSNSなど……

個性を問われている時代だからこそ、このテーマを深く考える必要があります。

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村上春樹に学ぶ「個性」の出し方

世界的に有名な小説家の村上春樹。彼のエッセイにその答えが書いてありました。

 『職業としての小説家』の4章でオリジナリティについてというテーマを語っております。

小説家としてこれだけ飛び抜けた「個性」を獲得した彼は、どのようにしてそのオリジナルを獲得したのでしょうか。

『職業としての小説家』第4章の要約

以下、第4回「オリジナリティーについて」の要約です。

1.オリジナリティーとは

オリジナリティーとは三要素から成り立つ。

  1. 他の表現者とは明らかに異なるスタイルを持つこと。少し触れるだけでその人の表現だと理解できる。
  2. そのスタイルは常にヴァージョンアップする。(量と質の向上)
  3. そのスタイルは徐々に世のスタンダードになる。(後世の表現者に影響を与える)

オリジナリティは、始めは衝撃的であったり、拒否されたりするものだ。しかし、次第に許容と慣れによって落ち着いていく。そしてそれは古典として多くの人々の敬意を受けるようになる。

オリジナリティーは次第に失われるのでない。時間の経過とともに、一般の人々の感覚(常識)の中に同化していき普遍化するのである。

2.オリジナリティーを出す方法

自らのオリジナルなスタイルを見つけ出すには、

まず「自分から何をマイナスしていくか」を考える。そして、その判断基準は「それをしているとき、自分は楽しい気持ちになれるか」。自然発生的な楽しさや胸のワクワクや喜び以外を全て切り捨てるのだ。

つまり、「自分は何を求めていないか」を考えるのだ。村上春樹のオリジナリティはその「自由さ」から生まれた。さまざまな現実の制約から解き放たれた、心的状態が極めて自由なときに生まれるのだ。 

人間としてのオリジナリティー

こうして小説においてオリジナルな文体や話法を獲得した村上春樹。この思考は、あらゆる芸術の領域において当てはまると強く感じました。あるゆる自己表現をするものにとって道しるべとなるような主張でした。 いたってシンプルな村上春樹流のオリジナリティーの出し方。

 

しかし実はこれ、芸術だけでなく人間にも当てはまるのではないでしょうか。「一個人のオリジナリティー」=「個性」です。 

「個性」がある人間になるためには?

彼によると、オリジナリティとは、嫌な事・やりたくない事を徹底的に捨てていくこと。自分がやっていて心から楽しいことを見つけること。嫌いなことを全て捨てると自分の心が素直に「いいな」と思うことだけ行動できるようになります。この「自分が好きなことをする」ことの集合が、オリジナリティー=個性になるのです。

つまり、「好きなことでいきていく」をしていけば「個性」が生まれるのです。
こうなると、途端に心が軽くなりませんか。強豪校の野球部のように、がむしゃらに体に鞭打って辛い努力をしなければ、というものではありません。ただ、「自分が好きなこと」を貫けば良いのです。ただそれだけなのです。そうしていけば自ずと個性が出来上がるのです。

 

好きなことでいきていく

近年、「Youtuber」という職業が確立されていきました。

彼らの「好きなことで、生きていく」という信条はとても印象的です。現代の日本社会の現状のカウンターであり、若者の憧れの的になります。彼らは今までの職業形態と異なり、会社に通勤せず、自分の中にある「好きなこと」を世の中に発信しています。そして、それを「価値あるもの」として提供し、お金を稼いでいます。

先ほどの話と合わせると、この信条は実は、個性を生むという観点からも理にかなっているのです。自分が好きな事だけをしていけばそれだけ自己にオリジナリティーが付与されるのです。

村上春樹とYouTuber

そして、「YouTuber」という職業ができるもっと昔に、彼はそれを小説家として達成していました。

僕の場合、小説を書きたくないときには、あるいは書きたいという気持が湧いてこないときには、まったく書かないからです。(p.113)

やりたくない事を徹底してやらず、小説を書くときには常に新鮮な気持ちでいた。精神的に自由なことが一番だから。

そしてもうお分かりかもしれません。

村上春樹が、日本で一番「好きなことで、生きていく」を達成しています。

 村上春樹が、日本で一番ユーチューバーです。

 

世の中は常にシンプルだ

我々は「オリジナル」や「個性」という言葉を前にするとうろたえる事が多いです。人前での自己紹介や就職活動の面接、SNS......そしてその個性というものに囚われ、ひどく悩む人もいるかと思います。

しかし、強烈な個性を持っている人々の考えは、いつだってシンプルなのです。

「好きな事だけしかやらない。」「気持ちに正直になり、自由になる。」

それだけなのです。

 

おわりに:みなさん、この本読むべきです

第4章の「オリジナリティーについて」にあまりにも感銘を受けたため、記事にしてしまいました。このエッセイは本当に面白いです。

小説家志望の人向けでなく、「小説を始めたきっかけ」や「学校教育」について、「原発」についてなど、さまざまなお話がわかりやすい文章で語られているエッセイです。そして、常に彼の頭の中はとてもシンプルでした。何度も読み返してしまう一冊です。ぜひ読んでみてください。

 

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表現者に学ぶ「個性」の出し方シリーズはこちら ↓

 <米津玄師編>