世界的人気を誇る小説家の村上春樹。
実は、沢山の絵本も出版しています。彼らしい一風変わったストーリーの作品が多く、非常に読み応えがあります。
今回は7作品全てを紹介・解説します!
村上春樹は絵本も面白い
「村上春樹が描いた短編小説」+「イラストレーターが描いたイラスト」=「絵本」という形です。
ですから、子供は「少し文字が多めの絵本」として、大人は「イラスト付きで読みやすくなった小説」として読めます。
難易度別(三つ星評価)に分けました。小学生なら読める作品から順に紹介していきます。
【定番:★☆☆】佐々木マキがイラストの絵本
①『羊男のクリスマス』
- 対象年齢:小学校低学年〜(読み聞かせであれば低年齢でも◎)
- イラスト:佐々木マキ
- ページ数:68
「羊男」とは、村上春樹の作品に度々登場するキャラクター。羊の被り物をした男です。彼のとても可愛い姿やファンタジックな空間を楽しめます。心温まるクリスマスのお話。村上ワールドを是非堪能してください。
②『ふしぎな図書館』
- 対象年齢:小学校低学年〜(読み聞かせであれば低年齢でも◎)
- イラスト:佐々木マキ
- ページ数:98
『図書館奇譚』という短編小説を易しい言葉遣いに変え、子供でも読める絵本にしました。図書館の地下にある牢屋に閉じ込められた主人公が、羊男と共に脱出を試みると言うお話。
【猫好き必見:★★☆】安西水丸がイラストの絵本
①『ふわふわ』
- 対象年齢:小学校中学年〜
- イラスト:安西水丸
- ページ数:54
猫好きで知られる村上春樹。彼が子供の頃に飼っていた猫の話です。猫好きには本当にたまらない絵本。とにかく絵も文章も「ふわふわ」しています。読んでいて心温かく、幸せな気持ちになれます。
【大人向け:★★★】カット・メンシックがイラストの絵本
イラストは、ドイツ人のイラストレーター、カット・メンシックさんが描きました。www.shinchosha.co.jp
彼女は、 村上春樹作品の愛読者です。不気味とも言えるようなタッチでイラストを描き「大人向けの絵本」として4作品を生み出しました。
①『ねむり』
- 作者:村上 春樹
- 発売日: 2010/11/30
- メディア: ハードカバー
対象年齢:中学生〜
ページ数:93
短編小説『眠り』を改稿しています。「死」というものをテーマに、日常にある漠然とした不安や空虚感を描いています。哲学的な内容ですので、中学生くらいの年齢になれば、より楽しめます。まさに「大人のための絵本」です。
②『パン屋を襲う』
対象年齢:小学校高学年〜
ページ数:77
短編小説『パン屋襲撃』と『パン屋再襲撃』の2作品を収録しています。その名の通りパン屋を襲撃するお話。1度目は包丁を体に隠して、2度目は散弾銃を車に載せて。映画化したことでも有名です。
③『図書館奇譚』
対象年齢:小学校中学年〜
ページ数:75
先に紹介した『ふしぎな図書館』と同じ内容ですが、カット・メンシックのシリアスなイラストで描かれた、より大人向けの作品です。
(文章の奥にある何か、対峙させたい 村上春樹作品もとに絵を描くカット・メンシックさん:朝日新聞デジタル)
羊男もこのように不気味です….。もともと少し怖い雰囲気の話ですが、このイラストによりそれがより強調されます。この作品はなんと7カ国で翻訳されました。
④『バースデイ・ガール』
対象年齢:中学生〜
ページ数:61
20歳の誕生日にアルバイトを休めなかった主人公がオーナーの老人の部屋に食事を運びふしぎな体験をする話です。中学校の教科書にも掲載されました。その年代なら考える人生と幸福についてをテーマにしています。
まとめ:村上春樹の絵本は「大人のための童話」
村上春樹の絵本はこのように「大人のための童話」という傾向が強いです。村上春樹独特の比喩と哲学的な文章が大人をも楽しませてくれるのです。しかし、読み聞かせしたりすれば小さなお子さんでも十分楽しめます。
子どもは美しい絵を楽しみ、大人は深く考えさせられる。家族みんなで楽しむことができる絵本なのです。村上春樹作品が爆発的な人気となる「普遍性」がここにも表れているということですね。
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