【村上春樹】最新作のタイトル『一人称単数』とはどういう意味?徹底解説!

村上春樹コラム

村上春樹の最新作として発表される短編集『一人称単数』

一見タイトルの意味がよくわかりませんが、今回はそれを徹底解説していきます!

 

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短編集『一人称単数』の詳細

収録作品は全部で8作品

最後の『一人称単数』のみ書き下ろしです。1〜7は『文學界』に掲載されてきました。

  1. 石のまくらに
  2. クリーム
  3. チャーリー・パーカー・プレイズ・ボサノヴァ
  4. ウィズ・ザ・ビートルズ With the Beatles
  5. ヤクルト・スワローズ詩集
  6. 謝肉祭(Carnaval)
  7. 品川猿の告白
  8. 一人称単数

 

タイトルの『一人称単数』ってどういう意味?

①タイトルはイギリスの小説が由来?

 
この画像はイギリスの小説家サマセット・モーム
彼が、1931年に発表した短編集『一人称単数(First Person Singular)』がタイトルの由来だと思われます。
 

「一人称単数」=「話している自分自身」のこと。つまり、「僕は」「私は」という形で、小説が進むことです。

 

モームの『一人称単数』では、6作品全て、語り手が「私(=一人称単数)」になっています。これにより読み手は、作者自身が実際に体験したことや出会った人物について描いているという印象を受けるのです。

 

②村上春樹の「一人称」

村上春樹の『一人称単数』でもそれは同じ。

全ての作品が、「僕は」と一人称で語られます。

 

この「一人称単数」の語り方は初期作品でよく見られました。

「僕は」「私は」という「一人称単数」で小説が語られるのです。(例えば、『羊をめぐる冒険』『ノルウェイの森』)

しかし、最近の作品のほとんどは「三人称単数」になっています。(例えば『1Q84』。「天吾は」「青豆は」と三人称語りです)

 

村上春樹の初期作品が好きな方は、懐かしさを覚えるかもしれません。

 

 

③『一人称単数』は私小説

また、同時に作中の「僕」は、作者の村上春樹自身であると思わせるような描き方です。
これは、いわゆる「私小説」だと思われます。

私小説…作者自身の経験や心理を虚構化することなく,そのまま書いた小説。(weblio辞書より)

いずれも、「村上春樹が体験した奇妙な出来事」が基になっていると思われます。

 

④厳密には、私小説ではない

ただし、この『一人称単数』は私小説と言わなければなりません。

なぜなら、空想の要素もあるからです。

短編集の中にある『チャーリー・パーカー・プレイズ・ボサノヴァ』の存在しないレコードや『品川猿の告白』の言葉を話す年老いた猿など、100パーセント実体験ではないことがわかります。

 

そしてタイトルについてこう書かれています。

「一人称単数」とは世界のひとかけらを切り取る「単眼」のことだ。しかしその切り口が増えていけばいくほど、「単眼」はきりなく絡み合った「複眼」となる。そしてここでは、私はもう私でなくなり、僕はもう僕でなくなっていく。そして、そう、もうあなたはあなたでなくなっていく。(『一人称単数』帯より)

 

つまり、この『一人称単数』もあくまで創作なのです。

「僕」(=村上春樹自身)が、実体験をベースに、一人称語りで物語を進める

これが『一人称単数』というタイトルの意味だと思われます。

 

『一人称単数』全8話のあらすじ

あらすじをネタバレしない程度にまとめました。

こちらを読んで買うかどうか判断してみましょう!

【村上春樹】『一人称単数』の全8話のあらすじ!短編最新作を最速で解説
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筆者
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